水曜日の物語
届いた手紙を、ご紹介します。
宮城県東松島市宮戸島。今は使われていない旧鮫ヶ浦漁港に、水曜日だけ開局する不思議な郵便局があります。
自分の水曜日の物語を綴り、その郵便局に宛てて手紙を投函してください。
しばらくすると、見知らぬ誰かの水曜日の物語が返ってきます。
旧鮫ヶ浦漁港の手前には大鮫隧道と呼ばれる素掘りのトンネルがあります。
トンネルに入れば真っ暗な闇。しかし私たちを誘うように、光の出口が見えてきます。
そしてトンネルを抜けたその先の小さな入江に、鮫ヶ浦水曜日郵便局はひっそりと佇んでいます。
行き交うのは、無数の小さな水曜日の物語です。
決して大きな物語にかき消されてはいけない、ささやかな、しかし生き生きとした小さな私たちの物語。
鮫ヶ浦水曜日郵便局は、そんな小さな声を交換するためのプラットフォームなのです。
2013年6月、熊本県津奈木町にあるつなぎ美術館が主体となって、閉校となった海の上の旧赤崎小学校の校舎を舞台に「赤崎水曜日郵便局」が開局。2016年3月に閉局するまでの2年9ヶ月の間に、海外からも含めて全国から1万通近い手紙が寄せられました。
赤崎水曜日郵便局 アーカイブページ
閉局後、再開局を望む声が上がり、プロジェクトの発案者の一人である映画監督の遠山昇司は、水曜日郵便局の次なる開催地を求めて全国を巡りました。その中で、「奥松島」とも呼ばれているエリアの、宮城県東松島市宮戸島にひっそりと存在する、今は使われなくなった漁港「旧鮫ヶ浦漁港」に出会います。
私たちは、トンネルをぬけた「その先」に、ささやかな希望とともに水曜日が届く場所を設定することにしました。
写真提供:つなぎ美術館/撮影:森賢一(1~3枚目)
〒981-0394
宮城県東松島市宮戸字観音山5番地その先
※現在は閉局いたしましたので、手紙は届きません。
2018年12月7日(金)発売
著:森沢明夫
発行:株式会社 KADOKAWA
価格:1,600円+税
ISBN:978-4-04-107316-2
2018年12月5日(水)発売
ぶん・え:小池アミイゴ
発行:株式会社 KADOKAWA
価格:1,300円+税
ISBN:978-4-04-107346-9
1984年、熊本県生まれ。法政大学国際文化学部卒業。ボストン大学留学。早稲田大学大学院国際情報通信研究科修了。
『赤崎水曜日郵便局』では、システムを五十嵐靖晃氏と共に発案し、局長・ディレクターとしてクリエーションに関する総合的なディレクションを行った。同プロジェクトは2014年度グッドデザイン賞を受賞。映画作品としては、『NOT LONG, AT NIGHT -夜はながくない- 』(2012)、『マジックユートピア』(2015/丹修一 共同監督) 、『冬の蝶』(2016)などで監督・脚本・プロデューサーを務めており、国内外の映画祭において高い評価を得ている。
アートプロジェクト『ポイントホープ』では、プロジェクトディレクター・ストーリーを担当。
『さいたま国際芸術祭2020』の指揮を執るディレクターを務めている。
今回も局長・ディレクターとして、クリエーションに関する総合的なディレクションを行う。
https://www.toyama-shoji.com/
1951年東京生まれ。神戸大学理学部数学科、横浜国立大学工学部建築学科を卒業後、(株)リジオナル・プランニング・チームで生態学的土地利用計画の研究に従事。89年にP3 art and environmentを開設。帯広競馬場で開かれたとかち国際現代アート展『デメーテル』の総合ディレクター(2002年)、アサヒ・アート・フェスティバル事務局長(2003年~2015年)、横浜トリエンナーレ2005キュレーター、別府現代芸術フェスティバル『混浴温泉世界』総合ディレクター(2009年、2012年、2015年)、さいたまトリエンナーレ2016ディレクター(2016年)を歴任。
今回は、プロジェクト全体を統括するプロデューサーとして、制作、運営統括を担う。
http://www.p3.org/
1980年、宮城県塩竈出身。エミリー・カー美術大学(カナダ・バンクーバー)卒業。
アーティストネットワーキング「ビルド・フルーガス」代表、2006年宮城県塩釜にbirdo spaceを開廊。地域の人々を巻き込んだアートプロジェクトや、クリエイティブな視点と表現方法で新たに塩釜の魅力を伝えるウェブサイト「クラシオ」等の企画運営を行う。2014年より塩竈市杉村惇美術館統括。宮城県文化芸術振興審議会委員、塩竈市海と社の景観審議会委員、仙台エスペラント会員。
今回は、メッセンジャーとして住民などと交流を重ねながら手紙が無事に届くよう努める。
http://www.birdoflugas.com/
1982年仙台市生まれ。一般社団法人Granny Rideto代表理事。2008年、特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター入職。同年、多賀城市市民活動サポートセンターに勤務。2013年よりセンター長を務める。2016年3月、せんだい・みやぎNPOセンター退職。その他、東北の日常をおもしろくするつれづれ団や地域資源を活かした多賀城をあそぶプロジェクトなどで活動。
今回は、ファシリテーターとして地域とプロジェクトをつなぐ役割を担う。
http://grannyrideto.jimdo.com/
鮫ヶ浦水曜日郵便局の活動と「その先」を見守る地域の皆さん
開局期間 | 2017年12月6日(水)~2018年12月5日(水) | ||||
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主催 | 水曜日観測所 | ||||
後援 | 東松島市 | ||||
協力 | 宮戸コミュニティ推進協議会、日本郵便株式会社東北支社、石巻郵便局、鳴瀬郵便局 | ||||
企画協力 | つなぎ美術館 | ||||
オフグリッド太陽光発電システム提供 | 株式会社プロジェクトウサミ | ||||
協賛 | アサヒグループホールディングス株式会社、 曹洞宗 萬亀山 東長寺、トヨタL&F宮城株式会社、 ネッツトヨタ仙台株式会社、 宮城トヨタ自動車株式会社 |
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助成 | 平成29年度・平成30年度 宮城県文化芸術の力による心の復興支援助成金事業 |